カメラを使い始めたばかりの人や、スマホから一眼カメラにステップアップした人の多くが最初につまずくのが「ISO感度」。
なんとなく聞いたことはあるけれど、よくわからず、こんな疑問を持った経験はありませんか?
- ISO感度って何をするものなのかよくわからない
- ISO感度の設定はどうすればいいの?
- ISO感度が高いと画質が悪くなるって本当?
この記事では、ISO感度とは何かを写真初心者にもわかりやすく、例えや図解を交えて丁寧に解説します。
この記事を読めば、ISO感度が写真の仕上がりにどう影響するのかが理解できます。
ISO感度の設定がよくわからない…と悩んでいたあなたに、役立つヒントをお届けします。

ISO感度とは画像センサーが光を感じる強さを表す数値です。
ISO感度の数値を上げると、同じシャッタースピードと絞りでも明るく撮ることができたり、暗い場所でも明るく撮ることができます。
しかし、ISO感度の数値を上げると写真にノイズ(ざらつき)が増えます。
逆に数値を下げるとノイズは減りますが暗所で同じシャッタースピードと絞りだと明るさ不足になります。
ISO感度の基本:カメラにおける役割とは?
ISO感度は「カメラ(画像センサー)がどれだけ光を感じやすくするか」を調整する機能です。
カメラで写真を撮るときは、レンズから入ってきた光を画像センサーが受け取ります。
このとき、受け取った光の量が少ないと、写真は暗くなってしまいます。
そこでISO感度を上げると、少ない光でも画像センサーが明るく感じてくれるようになり、写真が明るく写るようになります。
- 光が足りないときでも明るく撮れるようにする
- シャッター速度を速くしても、暗くならないように補う
- 絞りを絞っても明るさを保つことができる
ISO感度は、光の少ない場面でも明るい写真を撮るための助けになります。
ただし感度を上げすぎるとノイズが増えるため、状況に合ったバランスの良い設定が大切です。
ISO感度の数値が示す意味とは?

ISO感度の数値は、画像センサーが光を感じる力の強さを数字で表したものです。
大きい数値ほど感度が高く、暗い場所でも明るく写せます。
たとえば「ISO100」「ISO400」「ISO800」などのように表されます。
この数値が2倍になると、画像センサーは光を2倍強く感じます。
ISO感度のおおまかな明るさの感じ方とノイズの出やすさを以下のとおりです。
ISO感度 | 明るさの感じ方 | ノイズの出やすさ |
---|---|---|
ISO100 | 弱い | ノイズ少ない |
ISO800 | 中くらい | 少し出る |
ISO3200以上 | 強い | ノイズが目立ちはじめる |
ISO感度の数値は、カメラがどれだけ光を増幅して見せるかの目安です。
数値が高いと暗い場所でも撮れますが、ノイズが出やすくなります。
撮影環境に合わせて使い分けることが大切です。

カメラで写真を撮るとき、「明るさ」をコントロールする大切な考え方が「露出」です。
露出は、カメラに入る光の量のことで、写真の明るさに直接関係します。
露出は主に3つの要素、「絞り」「シャッタースピード」「ISO感度」によって決まります。
この3つはバランスが大切で、どれかを変えると他の設定にも影響が出ます。
ここでは、その関係をわかりやすく見ていきましょう。
絞り・シャッタースピード・ISO感度の三角関係
写真の明るさをコントロールするには、絞り・シャッタースピード・ISO感度の3つを組み合わせます。
絞り・シャッタースピード・ISO感度の3つは、写真の明るさ(露出)を決める三角形のような関係にあります。
要素 | 役割 |
---|---|
絞り | レンズから入る光の量を調整 |
シャッタースピード | 光を取り込む時間の長さを調整 |
ISO感度 | センサーが光を感じる強弱を調整 |

この3つの関係は「水道」に例えるとわかりやすいです。
- 絞り → 蛇口の開き具合(穴が大きいとたくさん水=光が出る)
- シャッタースピード → 水を出す時間(長く出すとコップにたくさん水がたまる)
- ISO感度 → コップの大きさ(コップの大きさが変わると水のたまる量が変わる)

コップの水をちょうどいい量に満たすには、どこかを変えたら他も調整しないといけません。
上の図は、右側の蛇口を締めたことで水が出てくる量が少なくなり、コップに水がたまる時間が長くなりました。
これを左のコップに水がたまる時間と同じにするためには、コップの大きさを小さくすることで解決することができます。

つまり、ISO感度はコップの大きさを変える(ISO感度を高くする=コップを小さくする)ことと言えます。
絞り・シャッタースピード・ISO感度は、明るさを決める3つの柱です。
この3つのバランスを理解することで、思い通りの明るさで写真が撮れるようになります。


ISO感度を上げると写真はどう変わる?
ISO感度を上げると、画像センサーが光を強く感じることができるため、写真は明るくなります。
しかし、ISO感度を上げれば上げるほどノイズ(ざらざらした見た目)が増えます。
ISO感度を上げれば暗い場所でも明るく撮れますが、ノイズが多くなり画質が悪くなるリスクもあります。
ブレを防ぎたいときや暗所での撮影には便利ですが、できるだけISO感度は必要な分だけ上げるようにしましょう。
ISO感度を下げると得られる効果とは?
ISO感度を下げると、ノイズの少ないきれいな写真になります。
ISO感度を低くすると、センサーは強く光を感じなくなります。
その代わり必要な光の量が増えるため、以下のような条件が必要になります。
- 明るい場所での撮影が基本
- シャッタースピードを遅くしたり、絞りを開いたりして、光をたくさん取り入れる必要がある
ISO感度を下げることで、ノイズが少なくなり写真の画質は良くなります。
ただし光が足りないと暗くなってしまうので、明るい場所での撮影や三脚を使った撮影が必要になります。
画質を重視するなら、ISOはできるだけ低く設定するのが基本です。

ISO感度を上げると暗い場所でも写真が明るくなりますが、その代わりに「ノイズ」と呼ばれるざらざらした見た目になることがあります。
ここでは、「そもそもノイズってなに?」「どうすればノイズが減るの?」「写真をきれいに見せるにはどうするの?」という疑問にわかりやすく答えていきます。
高ISO感度で発生するノイズとは?
ISO感度を高くすると、写真に「ざらざら」が出やすくなります。
ISO感度を上げると、カメラは少ない光でも写真を明るくしようとがんばります。
そのとき、必要な光の信号だけでなく、関係ない信号(ムダな信号)も一緒に強くしてしまいます。
このムダな信号がノイズです。
ノイズを抑えるためのISO感度設定のコツ
ノイズを減らしたいなら、できるだけISO感度を低く保つことが大切です。
ISO感度を低く設定すれば、光を強く増幅する必要がないので、ノイズが発生しにくくなります。
ただし、感度を下げすぎると写真が暗くなるので、明るさが足りないときは、三脚や絞りの調整で補うようにしましょう。
ノイズを抑えるには「ISO感度を必要最小限におさえる」ことが一番のポイントです。
ノイズ除去のための後処理テクニック
写真を撮ったあとでも、パソコンやアプリでノイズを軽減することができます。
現在は、RAW現像ソフトや写真編集ソフトには「ノイズ除去」機能があり、ざらついた写真もなめらかにできます。
ソフト名 | 特徴 | 操作性 |
---|---|---|
Lightroom(ライトルーム) | AIで自動軽減 | ◎ |
Camera Raw(カメラロウ) | AIで自動軽減 | ◎ |
Photoshop(フォトショップ) | 手動で調整 | △ |
ただし、やりすぎると細かい部分もぼやけてしまうので、ほどほどに使うのがコツです。
- 明るさを持ち上げすぎない(暗部はノイズが出やすい)
- ディテールを残す方向で調整(ぼやけすぎに注意)
- 高感度写真はRAW形式で撮る(※RAW=画像の元データ)
ノイズが出てしまっても、あとから補正することは可能ですが、きるだけ最初からノイズが少ない写真を撮るようにして、後処理は「最後の仕上げ」として使いましょう。
ISO感度を上げて撮影する場合は、RAW形式で撮影しましょう。


ISO感度はカメラの明るさをコントロールする大切な設定です。
でも「どう設定すればいいの?」「どの数値を使えばいいの?」と迷う人も多いはずです。
この章では、オート(自動)とマニュアル(自分で設定)の違いや、よくある撮影シーンごとの目安、さらにありがちな失敗とその対処法まで、初心者にもわかりやすく解説します。
ISO感度の設定方法
ISO感度はオートISO(自動)設定で手軽に撮影できますが、画質を重視するなら自分で数値を選ぶマニュアルISO(自分で設定)が最適です。
- オートISO(自動)設定
- カメラが周囲の明るさを読み取り、自動で最適な感度を選ぶ。
- 手軽で初心者向きだが、暗所では必要以上に感度を上げてノイズが増える場合がある。
- マニュアルISO(自分で設定)設定
- 自分で感度を固定して設定する。
- 画質を予測しやすく、ノイズを抑えた撮影が可能。
- 自信がつくまで、まずは基本的な数値(ISO100~400)から試すと安心。
撮影に慣れていないときや素早く撮りたいときはオートISOでOKです。
画質やノイズを気にするならマニュアルISOに切り替え、自分で数値を調整しましょう。
まずはオートISOで撮影してから、撮れた写真を見比べつつマニュアルに挑戦すると上達が早いです。
シーン別ISO感度の目安:風景・室内・夜景・スポーツ撮影
撮影する場所や時間によって、適切なISO感度は違います。
場面に合った設定を選ぶと失敗が減ります。
撮影シーン | 推奨ISO感度 | 理由 |
---|---|---|
風景(晴天) | ISO100〜200 | 光が十分にあるため、低感度で高画質に |
室内(自然光) | ISO400〜800 | 少し暗いので感度を上げて明るさを補う |
夜景(三脚使用) | ISO100〜400 | 三脚があるので低感度でもOK |
スポーツ(室内・屋外) | ISO800〜3200 | 被写体が速いため、感度を上げてシャッターを速く |
上表はあくまで基準なので、光の量や被写体の動きに合わせてISO感度を選びましょう。
ISO感度設定の失敗例とその対処法
よくある失敗は「ISO感度を上げすぎてノイズが目立つ」「下げすぎて写真が暗い」です。
ISO感度は設定のバランスが大切です。
ISO感度の設定でありがちなミスと原因は以下のとおりです。
失敗例 | 原因 | 対処法 |
---|---|---|
写真がノイズだらけ | ISO感度を高くしすぎた | 感度を下げて明るさは他で補う(絞りやシャッター) |
写真が真っ暗 | ISO感度を低くしすぎた | 感度を上げるか三脚を使ってシャッターを遅くする |
写真がブレている | 暗い場所でISO感度が低すぎた | ISO感度を上げてシャッター速度を速くする |
ISO感度は「上げすぎず」「下げすぎず」に注意が必要です。
失敗したときは、感度の数値を見直してみましょう。
経験を積むうちに、自然と最適な設定ができるようになります。

ISO感度は、ただ明るさを調整するためだけの設定ではありません。
撮影するシーンや被写体によって最適な使い方があります。
ここでは、暗い場所・動く被写体・風景撮影といった場面でのISO感度の活用法を、初心者でも理解しやすいように解説します。
暗所撮影でのISO感度の活用法
暗い場所では光が少ないため、シャッターを長く開けたり、レンズの絞りを広くしたりして光をたくさん取り込む必要があります。
しかし、シャッタースピードを長くするとブレが起きやすくなります。
そこでISO感度を上げると、少ない光でも明るい写真を撮ることができます。
撮影条件 | 適したISO感度 | 備考 |
---|---|---|
屋内・自然光なし | ISO800〜1600 | 手持ち撮影でもOK |
屋外・夜景 | ISO1600〜3200 | 明るさが足りない場合に活用 |
三脚使用 | ISO100〜400 | シャッターを長くして明るさ確保 |
暗所ではISO感度を上げると明るく撮れますが、ノイズが増えるので「できるだけ必要最小限の感度」に抑えることがポイントです。
三脚を使えば低感度でも撮れるので、機材の工夫も大切です。
動きの速い被写体を撮影する際のISO感度設定

動くものを撮るときは、ISO感度を上げてシャッタースピードを速くするのが基本です。
走っている人や飛んでいる鳥など、速く動く被写体を撮るには、ブレを防ぐためにシャッターを一瞬で切る必要があります(速いシャッタースピード)。
しかし、シャッター時間が短いと光を取り込む時間も短くなってしまうため、暗い写真になりがちです。

そこでISO感度を上げることで、明るさを保ちつつ速いシャッターで撮ることができます。
被写体 | 推奨ISO感度 | 補足 |
---|---|---|
子どもの運動会 | ISO800〜1600 | シャッター速度1/500秒以上が理想 |
鉄道写真 | ISO100〜6400 | 天候や時間帯で調節 |
室内のスポーツ | ISO3200〜6400 | 明かりが少ない体育館などでは必須 |
動く被写体をブレずに撮りたいときは、ISO感度を上げてシャッタースピードを速く保つのがコツです。
ノイズとのバランスを考えながら、明るさが足りないときに活用しましょう。
風景写真でのISO感度の使い方
風景写真ではできるだけISO感度を低く設定すると、色がきれいでノイズの少ないクリアな写真になります。
風景写真は動きがなく、三脚を使えることも多いため、シャッターをゆっくり切ることができます。
そのため、感度を無理に上げる必要がなく、ISO100〜200などの低い設定で高画質の写真が撮れます。
感度が低いほどノイズが少なく、細かい部分まできれいに表現できます。
風景写真では、ノイズをできるだけ減らすためにISO感度を低く設定するのが基本です。
撮影シーン | 適したISO感度 | 備考 |
---|---|---|
晴れた日中 | ISO100 | ノイズゼロに近く、画質が最高 |
朝や夕方の風景 | ISO100〜200 | 三脚を使えばISO100でもOK |
雲の多い日 | ISO200〜400 | 手持ち撮影なら少し感度を上げる |
三脚を使えばシャッターをゆっくり切れるので、低感度でも問題ありません。
色やディテールにこだわりたい人におすすめの設定です。

ISO感度を上げると画質が悪くなるのはなぜ?
ISO感度を上げると、写真に「ノイズ」と呼ばれるざらつきが入りやすくなり、画質が悪くなる原因になります。
ISO感度とは、カメラのセンサーが光を感じる力を調整する機能です。
暗い場所で撮影するとき、カメラは光を「増幅」して明るく写そうとします。
この「増幅」によって、実際にはない信号も一緒に強くなってしまうことがあり、これが「ノイズ(ざらつきや色ムラ)」の原因となります。
ISO感度を上げれば確かに明るく撮れますが、その分ノイズが増えてしまい画質が下がります。
そのため、できるだけISO感度は必要な分だけにとどめ、明るさは絞りやシャッタースピード、光の確保などで補うのが理想です。
ISO感度の設定はオートとマニュアルどちらが良い?
どちらが良いかは状況によります。
初心者やすばやく撮影したいときはオートが便利ですが、画質を細かく調整したいときはマニュアル設定が有利です。
- オートISO(自動)設定は、カメラが明るさに応じて自動で最適な感度を選んでくれます。
→ 失敗が少なく、手軽に撮影できるため初心者におすすめです。 - マニュアルISO(自分で設定)設定は、自分で感度を設定するため、画質を意識した撮影ができます。
→ 自由度が高く、状況に応じて最適な画質を引き出せます。
項目 | オートISO | マニュアルISO |
---|---|---|
操作性 | ◎(自動) | △(設定が必要) |
ノイズのコントロール | △(勝手に感度が上がることがある) | ◎(自分で感度を決められる) |
初心者へのおすすめ度 | ◎ | ◯(慣れてきたら) |
初心者はオートISOで撮影を始めると、失敗が少なく安心です。
慣れてきたら、シーンに合わせてマニュアルISOに挑戦してみましょう。
「とりあえず撮る」ならオート、「きちんと撮る」ならマニュアル、という使い分けがコツです。
ISO感度とセンサーサイズの関係性とは?
同じISO感度でも、画像センサーのサイズが大きいカメラのほうがノイズが少なく、画質が良くなります。
カメラの「画像センサー」とは、レンズから入ってきた光を受け取る部分です。
この画像センサーには大小さまざまなサイズがあります。
センサー形式 | センサーサイズ(横×縦mm) |
---|---|
フルサイズ | 36.0×24.0 |
APS-C | 23.5×15.7 |
APS-C(Canon) | 22.3×14.9 |
マイクロフォーサーズ | 17.3×13.0 |
- 1つ1つの光を受け取る点(ピクセル)に光がたくさん届く
- 少ない光でもしっかり情報を得られる
- 感度を上げてもノイズが出にくい
センサーが小さい場合は、光を受け取る面積が狭く、ISO感度を上げるとノイズが出やくなります。
この記事ではISO感度の仕組みから使い方までを初心者にもわかりやすく解説しました。
ISO感度を理解し、適切に設定することで写真の明るさと画質のバランスを自由にコントロールできます。
特に重要なポイントは以下のとおりです。
- ISO感度は「センサーが光を感じる強さ」を示す数値
- 数値を上げると暗所で明るく撮れるがノイズが増える
- 数値を下げるとノイズが減るが暗所で暗く写る
- オートISO(自動)設定は手軽だがノイズ過多に注意
- マニュアルISO(自分で設定)設定は画質重視の場面で有効
これらを踏まえ、まずはオートISOで感覚をつかみ、慣れてきたらマニュアル設定に挑戦しましょう。
ISO感度を上手に使い分ければ、手ブレや被写体ブレを抑えつつ、クリアで印象的な写真が撮れるようになります。
ぜひ設定を試しながら、撮影の幅を広げてください。