この記事では、Photoshopのオブジェクト選択ツールの基本的な使い方から、実際の作業に役立つ情報をわかりやすくまとめています。
さらに、作業効率を上げるテクニックも解説しているので、初心者から中級者まできっと新たな発見があります。

Photoshopの「オブジェクト選択ツール」は、画像の中から特定の対象(オブジェクト)を自動で見つけて選択する機能です。人物やモノの形をAIが判断するため、初心者でも簡単に切り抜きや加工が行えます。
オブジェクト選択ツールは、非常に便利な機能であり、今まで以上に写真編集の作業効率が上がります。
オブジェクト選択ツールとは?
オブジェクト選択ツールとは、画像内に写っている「モノ」や「人物」といった対象を自動的に見つけ出し、高い精度で選択できるツールです。ユーザーがざっくりと囲むだけで、PhotoshopがAIによってその範囲の中から必要な部分だけを判断し、最適な選択範囲を作ってくれます。
オブジェクト選択ツールによって、従来のような時間のかかる手動選択の必要がありません。
輪郭の複雑な被写体でも、自動的に境界線を計算しながら選択できるため、初心者からプロまで幅広く活用されています。
- 自動で輪郭を検出
- 背景と対象をAIが識別
- 精度が高く、あとからの微調整がしやすい
オブジェクト選択ツールは、対象を選ぶ手間を大きく省いてくれる便利な機能です。初心者でも簡単に使えるうえ、プロの作業時間も短縮してくれる頼れるツールといえます。
オブジェクト選択ツールはどこにある?ツールの表示方法

オブジェクト選択ツールは、Photoshopのツールバー内にありますが、表示されていない場合はカスタマイズすることで使えるようになります。

Photoshopのツールバーには多くのツールが並んでおり、初期状態では一部のツールが隠れていることがあります。オブジェクト選択ツールは、「クイック選択ツール」や「自動選択ツール」と同じグループに含まれているため、見つけにくい場合があります。
- 左側のツールバーから「選択ツール」のグループ(四角いアイコン)を探す
- アイコンを長押しすると、隠れているツールが表示される
- 「オブジェクト選択ツール」を選ぶ
表示されていない場合
- ツールバー下部の「…」ボタンから「ツールバーを編集」
- 一覧から「オブジェクト選択ツール」を見つけて追加
オブジェクト選択ツールは初期設定で見つけづらいこともありますが、表示方法を知っていればすぐに使えます。初心者でも迷わず使えるように、まずはツールバーのカスタマイズから始めてみましょう。
オブジェクト選択ツールを効果的に使うためには、「長方形モード」と「なげなわモード」の使い分けや、「オブジェクトファインダー」の設定を理解しておくことが重要です。これらの操作を身につけることで、よりスムーズに対象を選択でき、編集作業の質とスピードが向上します。
長方形・なげなわモードの違いと使い分け


長方形モードは素早く大まかな選択をするのに向いており、なげなわモードは複雑な形や細かい範囲を選びたいときに使います。
オブジェクト選択ツールでは、選択範囲の指定方法を2種類から選べます。
- 四角くドラッグして指定
- 対象の形に関係なく一括で囲む
- 正確さよりスピード重視


- マウスやペンで自由な線を描いて囲む
- 複雑な形状や細かい部分を選びやすい
- 自由度が高く柔軟


対象の形や選択の精度によって、長方形モードとなげなわモードを使い分けましょう。素早くざっくり選びたいときは長方形、複雑な対象にはなげなわが最適です。
オブジェクトファインダーの設定
オブジェクトファインダーをオンにすることで、Photoshopが自動的に画像内の対象を検出し、選択候補を視覚的に表示してくれます。
オブジェクトファインダーは、Photoshopが画像内の「人物」「動物」「モノ」などを解析して、選択可能な領域をリアルタイムで表示する機能です。この機能をオンにすると、カーソルを画像にかざすだけで、選択できるオブジェクトが薄くハイライト表示されます。
- オブジェクト選択ツールを選択
- 歯車アイコンから設定



カーソルを画像にかざすだけで、選択できるオブジェクトが薄くハイライト表示されます。
オブジェクトファインダーを活用することで、選択操作の手間が大幅に減ります。特に初心者には心強い機能なので、まずはオンにして使ってみましょう。デフォルトではこの機能はオンになっていると思いますが、オンになって担っていない場合はオンにしましょう。
その他の設定は基本的に変更しなくても問題ありません。

Photoshopには、選択作業を大幅に効率化してくれる自動選択機能が複数あります。「人物を選択」や「被写体を選択」はその代表で、初心者でもクリックひとつで高度な選択が可能になります。
これらの機能は、オブジェクト選択ツールを使っているときにも連携して使用できます。作業のスピードを上げたい方にとって、非常に心強い味方です。
人物を選択機能

人物を選択機能は、写真の中にいる人物を自動で検出して、1人だけ選択したり、複数人全員を一括で選んだりできる機能です。
PhotoshopのAIが画像を解析して人物の数を把握し、ユーザーが選択したい対象に応じて調整できます。
- 人物が複数いても個別に選択可能
- 一括で全員をまとめて選択することも可能
この写真を使って解説します。

画像を開いた状態で、オブジェクト選択ツール選択して、「人物を選択」をクリックすると、AIが自動で人物を全員と個別に判別します。



真ん中の人をクリックして選択します。


そうすると、詳細に選べる項目が現れるので、好きな選択したいパーツを選びます。ここでは「人物全体」を選択します。
選択したら「適用」をクリックします。



一番左の複数人のアイコンを選択するを全員を選択できます。

被写体を選択機能
被写体を選択機能は、Photoshopが画像全体の中から目立つ対象や主役となる要素を自動で見つけて選択してくれます。その際、デバイス上で素早く処理する「デバイスモード(高速)」と、Adobeのクラウドで高精度に処理する「クラウドモード(詳細な結果)」の2つを使い分けることができます。
- PCやMacの中で処理
- インターネット接続が不要
- 素早く結果が得られる
- Adobeのクラウドサーバーで処理
- より高精度な選択結果
- 接続環境が必要
こちらの画像を使って、「デバイスモード(高速)」と「クラウドモード(詳細な結果)」の2つを比べてみましょう。

先に「デバイスモード(高速)」せ選択範囲を作ります。
「被写体を選択」から「デバイスモード(高速)」を選びます。


「デバイスモード(高速)」を選んだら、「被写体を選択」をクリックします。そうすると数秒後に自動で選択範囲が出来上がります。

選択範囲で切り抜いたものが以下のがぞうです。

次に、「クラウドモード(詳細な結果)」を使って選択範囲を作ります。



「クラウドモード(詳細な結果)」のほうが選択範囲の制度がたかいことがわかります。


被写体を選択機能は、スピードと精度のバランスを自分で選べる点が大きな魅力です。素早く結果が欲しいときはデバイス、より丁寧な選択が必要なときはクラウドと使い分けましょう。
オブジェクト選択ツールで自動的に選ばれた範囲も、実際の作業では微調整が必要になることがあります。Photoshopでは、選択範囲を複数のオブジェクトを選んだり、不要な部分を削除したり、細かく輪郭を整えたりするための機能が用意されています。調整方法を覚えておくことで、仕上がりのクオリティが大きく変わります。
複数オブジェクトを選択・追加・削除・交差の操作方法
Photoshopのオブジェクト選択ツールには、選択範囲の作成・追加・削除・共通範囲といった複数の操作モードがあります。目的に応じてこれらを使い分けることで、より柔軟に対象を選ぶことができ、作業の効率と精度が大きく向上します。

新しい選択範囲を作るときは「新規追加」モードを使います。既存の選択をすべて解除して、新しく選択範囲を指定できます。
「新規追加」は、一度に1つの選択範囲しか保持できないため、このモードを使うと、既存の選択はすべて解除され、新しい範囲のみが有効になります。
何かを選び直したいときや、一度すべてをリセットして新しい範囲を作りたいときに有効です。これにより不要な部分が残らず、明確に選択できます。
選択範囲を新しく作る場合は、「新規追加」モードが最適です。

既存の選択に新たな範囲を加えるには「選択範囲に追加」モードを使用します。
「選択範囲に追加」はShiftを押しながら新しい選択範囲を作ります。
一度にすべての対象を選ぶのが難しい場面では、複数回に分けて少しずつ範囲を広げるほうが確実です。特に細かいパーツや複数のオブジェクトがあるときに便利です。
複数の選択範囲を作りたいときは、「選択範囲に追加」で作業を積み重ねると効率的です。
デフォルトではこの設定にしておくと作業がはかどります。

不要な部分を選択から除外したいときは「現在の選択範囲から一部削除」モードを使います。
削除したい選択範囲を囲むと選択範囲がなくなります。
自動選択や大まかなドラッグ操作では、意図しない範囲まで選ばれてしまうことがあります。そうした部分を手動で削除すれば、最終的な選択精度が上がります。
選びすぎた部分を調整したい場合は、「一部削除」モードを活用して選択範囲を整えることが重要です。

現在の選択範囲と重なっている部分だけを残したいときは「共通範囲」モードを使います。
複雑な選択操作の中で、複数の範囲が重なっているところだけを抽出することで、必要な部分を絞り込むことができます。この操作は正確な選択が求められる場面で特に有効です。
「選択とマスク」で範囲を微調整する方法

「選択とマスク」機能を使えば、境界のぼかしやエッジの滑らかさを調整して、より自然な選択範囲に仕上げることができます。
選択範囲は、自動でもかなり正確ですが、髪の毛や細かい輪郭では不自然さが残ることがあります。「選択とマスク」では、次のような調整が可能です。
- エッジの滑らかさを調整
- ぼかしやコントラストの強弱を調整
- 「半径調整ツール」で髪の毛のような複雑な部分にも対応
「選択とマスク」は、Photoshopの選択操作における仕上げ工程です。特に人物写真や複雑な素材を扱うときには、必ず使いたい機能です。

オブジェクト選択ツールには、基本的な操作以外にも便利な設定がいくつか用意されています。その中でも「全レイヤーを対象」と「ハードエッジ」は、特定の場面で選択精度や動作の快適さに大きな影響を与える重要なオプションです。両方の機能の意味と使いどころを理解しておくと、より柔軟な編集が可能になります。
全レイヤーを対象
「全レイヤーを対象」をオンにすると、現在のレイヤーだけでなく、すべてのレイヤーを合成した状態で選択対象として扱えます。
通常の設定では、選択は「現在アクティブなレイヤー」に対して行われますが、このオプションをオンにすることで、すべてのレイヤーを1枚の画像として見なして選択できるようになります。
「全レイヤーを対象」は、複数のレイヤーにまたがる編集を行うときに便利な設定です。特に合成画像やコラージュ作成時に活用できます。
ハードエッジ
「ハードエッジ」をオンにすると、選択範囲の輪郭がくっきりとした境界で処理されます。
Photoshopでは、選択範囲のエッジに微妙なぼかし(アンチエイリアス)が自動的に適用されることがありますが、「ハードエッジ」を有効にすることで、そうしたなだらかな境界が無くなり、エッジが明確になります。
ハードエッジが効果的な場面
- イラストや図形のようなシャープな輪郭を保ちたいとき
- きっちりした選択が必要なマスク作成やパス変換
「ハードエッジ」は、選択の境界をシャープにしたいときに使う設定です。はっきりとした境界線がある写真や図形、ベクター風素材を扱うときに活用すると効果的です。

Photoshopのオブジェクト選択ツールは、使い方次第で仕上がりと効率に大きな差が出ます。複雑な背景の処理や、スマートオブジェクトとの連携、ショートカットの活用まで、作業で役立つコツを押さえておくことで、編集作業がスムーズになります。
複雑な背景・細かい部分をきれいに選択するコツ
背景と被写体の境界があいまいなときは、「選択とマスク」機能を併用し、エッジ検出やブラシ調整を丁寧に行うのが効果的です。
背景がごちゃごちゃしていると、Photoshopの自動選択だけでは正確に切り抜けないことがあります。そのため、以下のような手順を加える必要があります。
- オブジェクト選択後に「選択とマスク」を開く
- 「半径調整ブラシツール」で髪の毛や細い輪郭をなぞる
- エッジ検出をオンにして背景との境界を再計算させる
- 背景色に合わせたプレビューで仕上がり確認
複雑な背景の処理では、「選択とマスク」での丁寧な調整が鍵です。自動だけに頼らず、手作業を加えることで完成度が上がります。
スマートオブジェクトと選択ツールの関係と注意点
スマートオブジェクトは変形やフィルターを非破壊で使える便利な形式ですが、一部の選択ツール操作には制限があります。
スマートオブジェクトの状態では、選択範囲を直接編集できないことがあります。
- スマートオブジェクトはピクセル編集ができない
- 「選択範囲の削除」「塗りつぶし」などができない
- 編集するにはラスタライズ(通常のレイヤーに戻す)必要がある
スマートオブジェクトを活用する際は、必要に応じてラスタライズすることも視野に入れておきましょう。選択ツールとの相性を理解して使い分けるのがコツです。
選択範囲を別レイヤーとして切り出す方法
選択範囲を別レイヤーに切り出して独立させることで、個別に加工や移動が可能になります。
切り出した後にレイヤー名を付けて整理したり、必要に応じてスマートオブジェクトに変換することで、あとからの編集作業がしやすくなります。切り出したパーツにエフェクト(ドロップシャドウや境界線)を適用すれば、視覚的な強調やデザイン展開も簡単に行えます。
選択範囲を作ったら、Windows:Ctrl + J Mac:Command + Jで新しいレイヤーに選択したものが切り出されます。
選択範囲をレイヤーとして分けておくことで、あとからの調整がしやすくなります。複数の要素を組み合わせるときにも便利です。
効率UP!覚えておきたい便利なショートカット
選択ツールを使いこなすには、よく使うショートカットを覚えておくと作業時間を大幅に短縮できます。
マウス操作よりもキーボードショートカットのほうが素早く、正確に操作できます。
- 選択解除
- Windows:Ctrl + D
Mac:Command + D
- Windows:Ctrl + D
- 選択範囲を新レイヤーに
- Windows:Ctrl + J
Mac:Command + J
- Windows:Ctrl + J
- 直前の操作を取り消し
- Windows:Ctrl + Z
Mac:Command + Z
- Windows:Ctrl + Z
- 選択範囲の追加:Shift
- 選択範囲の削除:Alt
ショートカットは慣れれば作業の手が止まりません。日常的に使うことで、自然とスピードアップにつながります。
この記事では、Photoshopのオブジェクト選択ツールの使い方について、初心者にも分かりやすく解説しました。選択範囲を思い通りに作るには、基本的な操作だけでなく、設定や補助機能の理解も欠かせません。ツールの特性を正しく知っておくことで、編集作業の効率と完成度が大きく変わります。
特に重要なポイントは次の通りです。
- オブジェクト選択ツールは画像内の被写体を自動で検出して選択できる便利なツールです
- 選択範囲は「新規」「追加」「削除」「共通範囲」などのモードで柔軟に調整できます
- 「選択とマスク」機能を併用すると、髪の毛や輪郭などの細部を自然に仕上げられます
- 「全レイヤーを対象」や「ハードエッジ」などの設定を活用すると、状況に応じた精度の高い選択が可能になります
- スマートオブジェクトやレイヤー構造にも注意して、目的に合った操作を選びましょう
- 作業効率を上げるために、ショートカットキーも活用しましょう
オブジェクト選択ツールは、Photoshop初心者でも扱いやすく、慣れれば非常に強力な武器になります。この記事の内容を参考に、まずは一度ツールを使ってみて、選択作業の楽しさと可能性を実感してみてください。