APS-Cカメラの35mm換算によるレンズの焦点距離を徹底解説

APS-Cカメラの35mm換算によるレンズの焦点距離を徹底解説

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『APS-Cカメラの35mm換算ってどういうこと?』と疑問に感じたことはありませんか?

APS-Cセンサーのカメラは、フルサイズセンサーのカメラとは異なるセンサーサイズのため、同じレンズを使っても実際の見え方が変わってきます。

そのため、自分が撮りたい構図や焦点距離が、実際にどんな仕上がりになるのかを理解するには『35mm換算』が重要になってきます。

  • APS-Cのカメラで50mmレンズを使うと、どのくらいの画角になるの?
  • 35mm換算の焦点距離ってどうやって計算するの?手軽な方法が知りたい!
  • フルサイズとAPS-Cでどんな違いが出るのかを簡単に理解したい!

この記事を読むことで、APS-Cカメラの『35mm換算』の基本や、その計算方法、焦点距離の違いがもたらす効果についてわかりやすく理解できます。

初心者の方でもすぐに実践できる計算方法や、使いこなすためのポイントも紹介していますので、この記事を参考にして、APS-Cカメラでのレンズ選びや撮影時の見え方をしっかりと把握できるようになります。

APS-Cカメラの35mm換算とは?

APS-Cカメラの35mm換算とは?

デジタル一眼カメラでよく耳にする「35mm換算」という言葉。

特にAPS-Cサイズのセンサーを搭載したカメラを使っている人なら、一度は疑問に思ったことがあるかもしれません。

APS-Cカメラの35mm換算とは、APS-Cサイズのカメラセンサーで撮影した写真の「焦点距離」を、フルサイズカメラなどで使われるセンサーサイズが「35mmサイズ」の視点から見たときにどのような画角(広さ・狭さ)になるかを計算して表すものです。

簡単にいうと、APS-Cカメラの35mm換算とは、APS-Cカメラで撮った写真の広さを「フルサイズカメラ」ならどう見えるかに置き換えて考えることです。

APS-Cはセンサーサイズが小さく、フルサイズよりも写る範囲が狭くなります。

このため、APS-Cカメラでの焦点距離が、フルサイズのカメラで見た場合にどれくらいの見え方になるかを換算することで、同じレンズでもどのように視点が変わるかを理解しやすくなります。

APS-Cとは何か?

センサーサイズサイズ (mm)
フルサイズセンサー約36mm x 24mm
APS-Cセンサー約22mm x 15mm

APS-Cとは、デジタルカメラの中で使われているセンサーのサイズの一つで、フルサイズセンサーよりも小さめのサイズです。

このセンサーの違いにより、同じレンズでもフルサイズよりも写る範囲が狭くなる特徴があります。

下図は、APS-Cカメラとフルサイズかめらで同じレンズで撮った写真です。

APS-Cカメラとフルサイズカメラでは写る範囲が違うことがわかると思います。

フルサイズよりも写る範囲が狭くなる

APS-Cは、主に一眼レフやミラーレスカメラで使われているセンサーのサイズで、35mmフルサイズセンサーの「約2/3ほどの大きさ」です。

APS-Cセンサーを使うことで、カメラ全体の小型化や軽量化がしやすくなり、製造コストが抑えられるため、フルサイズカメラよりも価格が手頃になることが多いです。

焦点距離とは?

焦点距離とは、レンズの中心から撮像面(フィルムやイメージセンサー)までの距離のことです。

この距離の長さが、写真に写る範囲や大きさを決める重要な要素となります。

焦点距離は「ミリメートル(mm)」で表され、一般的に「広角レンズ」「標準レンズ」「望遠レンズ」といったカテゴリに分けられます。

焦点距離は単位は「mm(ミリメートル)」

レンズの焦点距離と画角の関係を詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。

参考:焦点距離と画角の関係を簡単解説!写真がこんなに変わる画角の違い

焦点距離と画角の関係を簡単解説!写真がこんなに変わる画角の違い 焦点距離と画角の関係を簡単解説!写真がこんなに変わる画角の違い

35mm換算とは?焦点距離と画角の関係

35mm換算とは、APS-Cカメラのセンサーが撮影する画角(写る範囲)を、35mmフルサイズカメラでの画角に置き換えて表示するための方法です。

これにより、レンズの焦点距離がフルサイズと比べてどれくらい変わるのかが分かります。

画角

画角とは、レンズを通してカメラが捉える範囲の広さを表す角度のことです。

焦点距離と密接な関係があり、焦点距離が短いほど画角は広くなり、長いほど狭くなります。

画角は、カメラが撮影できる範囲の「広さ」であり、焦点距離によって異なります。

画角が広いと多くのものを一度に写せますが、被写体は小さく映ります。

画角

APS-Cセンサーは35mmフルサイズよりも小さいため、同じ焦点距離のレンズを使用してもフルサイズと比べて「狭い範囲」しか写りません。

フルサイズカメラに50mmのレンズを付けると50mmの画角です。

APS-Cカメラに同じ50mmのレンズを付けると、センサーが小さいので写る画角(範囲)が狭くなります。

焦点距離にすると、75mm相当の画角になります。

APS-Cカメラにフルサイズカメラにつけた同じ50mmのレンズを付けると1.5倍(1.6倍)の焦点距離の画角になります。

フルサイズカメラと同じ50mmの画角に合わせるには、APS-Cカメラに約35mmのレンズが必要になります。

このように、APS-Cカメラに取り付けたレンズの焦点距離をフルサイズカメラと同じ画角に合わせるために焦点距離を合わせることを「換算」といいます

具体的には、以下の計算式で換算できます。

換算式:「焦点距離 × 1.5(または1.6)」

この計算で出た数値が「35mm換算」です。

APS-Cで使用するレンズの焦点距離が、フルサイズカメラでどれくらいの画角に相当するかを知ることで、撮影時の構図や写る範囲がイメージしやすくなります。

35mm

35mmフィルムはもともとライカが基準として広めたサイズです。

具体的には、1920年代にドイツのライカ(Leica)社が開発したカメラで、このフィルムサイズを使い始めました。

  • デジタルカメラにおいても、35mmフィルムのサイズ感を再現するため、同じセンサーサイズが「フルサイズセンサー」として一般的になっています。
  • 36×24mmというサイズが、現在の「フルサイズ」として標準化されました。

レンズの焦点距離と画角の関係を詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。

参考:焦点距離と画角の関係を簡単解説!写真がこんなに変わる画角の違い

焦点距離と画角の関係を簡単解説!写真がこんなに変わる画角の違い 焦点距離と画角の関係を簡単解説!写真がこんなに変わる画角の違い

なぜAPS-Cセンサーで35mm換算が必要なのか?

APS-Cカメラで35mm換算が必要な理由は、焦点距離をフルサイズカメラと比較して理解することで、レンズの選択や撮影意図に合った画角を設定しやすくするためです。

フルサイズカメラは35mmフィルムと同じ大きさのセンサーを持ち、古くから標準的な基準として使われてきました。

一方、APS-Cカメラはセンサーが小さいため、フルサイズカメラと同じレンズを使っても画角が狭くなります。

  • レンズの焦点距離が変わると、写る範囲が変わる
    APS-Cで同じ焦点距離を使うと、フルサイズでの見え方よりも狭く写ります。このため、APS-Cカメラユーザーはフルサイズと比較してどのくらいの視野が得られるかを知る必要があります。
  • レンズ選びや撮影のシーンに応じた画角調整が必要
    特に広角撮影(風景や建物撮影)や望遠撮影(ポートレートやスポーツ撮影)では、写る範囲が異なると印象が大きく変わります。そのため、APS-Cで35mm換算を考慮することが重要です。

例えば、ポートレート撮影に50mmレンズをAPS-Cカメラで使う場合、35mm換算では約75mmになります。

このように、35mm換算を使えば、APS-Cカメラにどのレンズを装着すれば、フルサイズカメラで撮影したような画角になるのかを簡単に計算できます。

つまり、35mm換算は、異なるカメラ(センサー)で撮影した写真を、同じ基準で比較するためのものさしのようなものです。

APS-Cと35mm換算の計算方法

APS-Cと35mm換算の計算方法

APS-Cカメラでは、センサーサイズがフルサイズカメラ(35mmフィルムサイズ)よりも小さいため、同じレンズを使ってもフルサイズよりも「狭い範囲」が写ります。

そのため、APS-Cで撮影するときは、「35mm換算」としてフルサイズカメラで撮影した場合の見え方に換算して考えることが一般的です。

APS-Cセンサーでの焦点距離の計算手順

PS-Cカメラの焦点距離を35mm換算するには、使用しているレンズの焦点距離に「換算係数」(通常1.5または1.6)をかけるだけで簡単に求められます。

これにより、APS-Cでどれくらいの画角が得られるかが分かります。

APS-Cカメラのセンサーは、フルサイズよりも小さいため、同じレンズを使った場合に写る範囲が狭くなります。

たとえば、50mmのレンズをAPS-Cカメラで使用すると、以下のように計算できます。

計算式

焦点距離 × 換算係数(例:50mm × 1.5 = 75mm相当)

APS-Cカメラで50mmのレンズを使うと、フルサイズカメラで75mmのレンズを使ったときと同じ画角になります。

このように、APS-Cカメラの小さめのセンサーがどれくらいの範囲を写せるかを、フルサイズの視点で知ることができます。

APS-Cでの焦点距離の計算方法は、シンプルに焦点距離に換算係数をかけるだけです。

これを知っておくと、フルサイズ換算での見え方が理解しやすくなり、レンズ選びや撮影シーンに応じた設定がしやすくなります。

換算係数とは?一般的な1.5倍と1.6倍の違い

換算係数とは?一般的な1.5倍と1.6倍の違い

換算係数とは、APS-Cカメラの焦点距離をフルサイズの画角に換算するための数値で、一般的には1.5倍または1.6倍が使われます。

この数値の違いはカメラメーカーによるもので、大まかな画角は同じですが、細かく見れば少しだけ違いがあります。

換算係数の違いは、メーカーが採用するAPS-Cセンサーのサイズがわずかに異なることに起因します。

  • 1.5倍の例
    主にニコンやソニーなどが採用するAPS-Cカメラで使用されます。
  • 1.6倍の例
    主にキヤノンが採用するAPS-Cカメラで使用されます。

この違いによって、APS-Cカメラで同じ50mmレンズを使ったとき、ニコンでは75mm相当、キヤノンでは80mm相当の画角となります。

35mm換算早見表

APS-Cカメラの換算は少し計算が必要ですが、早見表を使うことで瞬時にフルサイズ換算がわかるため便利です。

特に撮影シーンに合わせてどの画角が適切かを判断する際に役立ちます。

APS-C焦点距離35mm換算(1.5倍)35mm換算(1.6倍)
18mm27mm28.8mm
24mm36mm38.4mm
35mm52.5mm56mm
50mm75mm80mm
85mm127.5mm136mm
100mm150mm160mm

ズームレンズの35mm換算

ズームレンズの35mm換算

ズームレンズでは1mm単位で焦点距離を変えることができますが、APS-Cカメラでの35mm換算は、換算係数を覚えておくだけで、簡単に計算ができるため、手軽に焦点距離を確認できます。

特に撮影現場では、スマートフォンの計算アプリを使えば、瞬時に換算できるため、準備の効率が上がります。

ズームレンズを使うことで、焦点距離を1mm単位で変えられます。

そのため、撮影したい被写体や構図に応じて微妙な距離調整が可能です。

しかし、APS-Cセンサーを使っている場合は、フルサイズ(35mm)換算の視点で焦点距離を知りたいことが多くあります。

  • 換算係数の活用
    APS-Cのカメラで使用する際、フルサイズ換算するためには1.5倍(または1.6倍)をかけるだけで、求めたい焦点距離がわかります。これを覚えておけば、ズームレンズのどの位置でフルサイズ換算での見え方がどの程度になるか、すぐに計算可能です。
  • スマートフォンの計算機アプリで簡単に換算
    撮影現場では、計算が必要な場合でもスマートフォンの計算機アプリを使うことで、即座に焦点距離を換算できます。例えば、焦点距離50mmであれば「50 × 1.5 = 75」と入力するだけで、35mm換算の焦点距離がすぐに求められます。

ズームレンズでの1mm単位の焦点距離調整が可能な撮影時にも、換算係数を覚えておくことで、フルサイズ換算が簡単に行えます。

スマートフォンを使えば、焦点距離を計算する手間も少なく、瞬時に画角をイメージしやすくなるため、効率的に撮影準備ができるでしょう。

この方法は、特に撮影現場での素早い判断に役立ちます。

初心者には、標準ズームレンズがおすすめです。

参考:初心者が最初に購入するレンズは標準ズームレンズがおすすめ

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計算をスムーズにする便利ツール

計算をスムーズにする便利ツール

APS-C 35mm換算ツール

ニコン・ソニー・富士フイルムなど

焦点距離を入力すると、35mm換算での焦点距離が表示されます。

APS-C 35mm換算ツール

キャノン

焦点距離を入力すると、35mm換算での焦点距離が表示されます。

換算ツールを使う場合は、14mm〜800mmの焦点距離(数字のみ)を入力してください。

焦点距離を入力したら、「換算する」ボタンを押してください。

APS-Cカメラのメリットとデメリット

APS-Cカメラには、フルサイズカメラにはない独自の特徴があり、用途や予算によっては非常に魅力的な選択肢となります。

ここでは、APS-Cカメラの利点と欠点について詳しく解説し、カメラ選びに役立つ情報をお話します。

APS-Cカメラのメリット

APS-Cカメラは、小型で軽量、かつ価格も比較的手頃なため、低価格でカメラを購入したい方や携帯性を重視する人に適した選択肢です。

また、焦点距離が実際よりも長くなる「35mm換算」により、望遠撮影にも強みを発揮します。

  • 小型・軽量
    センサーがフルサイズよりも小さいため、カメラ本体やレンズも小型化されやすく、持ち運びが簡単です。旅行や日常撮影でも負担が少なく、軽快に使えます。
  • 手頃の価格が多い
    APS-Cカメラはフルサイズに比べてセンサーが小さいため、製造コストが低く、フルサイズカメラよりも手頃な価格で購入できることが多いです。
  • 望遠効果が得られる
    APS-Cは「35mm換算」で焦点距離が1.5倍(または1.6倍)になります。例えば、50mmのレンズを使うと75mm相当の画角が得られるため、動物やスポーツなどの望遠撮影に適しています。

APS-Cカメラは、軽量で携帯性が高く、価格もフルサイズより安価なため、購入しやすいカメラです。

また、望遠効果を活かして遠くの被写体を撮影する際にも活躍しやすく、多用途で魅力的な選択肢です。

APS-Cカメラのデメリット

APS-Cカメラのデメリット

APS-Cカメラは、暗所での撮影や広角撮影がやや苦手で、フルサイズカメラに比べて画質やボケの表現力で劣る点があります。

特に画質やボケ感を重視する場合には、フルサイズが適している場合も多いです。

  • 低光量での撮影でノイズが出やすい
    APS-Cはセンサーが小さいため、フルサイズよりも光を取り込みにくく、暗所での撮影や高ISO感度での撮影ではノイズが出やすくなります。
  • 被写界深度が深くなり、ボケが少なめ
    APS-Cではフルサイズよりも被写界深度が深いため、同じレンズで撮影しても背景のボケが控えめになります。ポートレートなどで背景をぼかして被写体を引き立たせたい場合には、ボケ感が少し物足りなく感じることもあります。
  • 画質や階調表現がフルサイズに劣ることがある
    センサーが小さいため、解像度や色の再現力、階調表現においてフルサイズほどの性能を発揮しにくい場合があります。商業写真や風景写真など、高画質が求められる撮影では、フルサイズが選ばれることが多いです。

PS-Cカメラは、暗所や高画質を必要とするシーンではやや不利な場合がありますが、それ以外のシーンでは十分な性能を発揮できます。

特にボケ感や暗所でのノイズに気をつけつつ、適切に設定すれば非常に便利なカメラです。

写真のボケについて詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。

参考:レンズのF値(絞り値)について初心者でもわかるように簡単解説

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APS-Cカメラで撮影する際の注意点

APS-Cカメラで撮影する際の注意点

APS-Cカメラは、フルサイズカメラよりも小さいセンサーサイズを持つため、画角や被写界深度、ノイズ耐性などに独自の特徴があります。

撮影時には、35mm換算による見え方やボケ感の変化、暗所でのノイズの出やすさを考慮することで、より意図した写真を撮ることができます。

APS-Cカメラ特有のポイントを理解して、構図作りや設定に役立つ注意点を詳しく説明します。

35mm換算を考慮した構図作り

APS-Cカメラで構図を作る際は、35mm換算での焦点距離を意識することが大切です。

これにより、フルサイズカメラと同じレンズでも、APS-Cで撮影する場合の見え方や写る範囲をイメージしやすくなり、狙った構図が作りやすくなります。

APS-Cカメラはセンサーが小さいため、同じ焦点距離でもフルサイズよりも画角が狭くなります。

たとえば、50mmのレンズをAPS-Cカメラで使うと、フルサイズ換算で75mm相当の画角になり、写る範囲がより狭くなります。

このため、風景や広い範囲を撮りたい場合は、より広角なレンズを選ぶ必要が出てきます。

APS-C専用レンズを使う

APS-Cカメラで構図を考える際「35mm換算」を意識せず構図を決めやすくするには、APS-C専用のレンズを使用する方法があります。

APS-C専用のレンズを使うことで、フルサイズ用レンズを使う際に比べて、APS-Cカメラに最適化された画角での撮影ができ、構図作りがしやすくなる利点があります。

  • 35mm換算の焦点距離の目安
    レンズの特性を分かりやすくするために、35mm換算の焦点距離の目安が、販売店でレンズ説明や製品カタログ、ウェブサイトなどに記載されています。
  • 広角レンズの選択肢が増える
    APS-C専用の広角レンズを使うと、風景など広い範囲を撮りたいシーンでも狭さを感じにくくなり、理想の構図に近づけやすくなります。
35mm換算の焦点距離の目安の記載

例:16-50mm f/3.5-6.3 → 24-75mmレンズの画角に相当

APS-Cカメラで構図作りをする際、APS-C専用のレンズを使うことで、自然な画角での撮影が可能になります。

35mm換算を考慮せずとも、APS-Cに適した広さの画角が得られるため、撮影シーンに応じたスムーズな構図作りがしやすくなります。

被写界深度と絞りの関係

被写界深度と絞りの関係

APS-Cカメラでは、フルサイズカメラよりも被写界深度」が深くなりやすい傾向があります。

これは、背景がぼけにくくなり、被写体全体にピントが合いやすいという意味です。

被写界深度とは、写真でピントが合う範囲のことを指します。

APS-Cカメラの小さなセンサーは、同じ構図で撮影する際にフルサイズよりも深い被写界深度を作りやすくなります。

ポートレート撮影などで背景をぼかしたい場合には、開放絞り(F値が小さい値)で撮影したり、望遠レンズを使うことで、背景を効果的にぼかせます。

APS-Cとフルサイズの画質の違い

APS-Cカメラは、フルサイズカメラと比べてセンサーが小さいため、同じ画素数でも画質がやや異なる場合があります。

解像度や色の再現性、階調表現でフルサイズの方が優れる傾向があります。

フルサイズセンサーは、より大きなセンサー領域を持つため、各画素が大きく、光を取り込みやすい特徴があります。

  • 解像感
    フルサイズは画素が大きいため、より高い解像感を得やすく、細かなディテールがくっきりと写ることが多いです。
  • 階調表現
    明暗や色のグラデーションが豊かで、より自然な仕上がりになります。
  • 色の再現性
    フルサイズは光を多く取り込むため、色の再現性も良好で、忠実な色表現が期待できます。

APS-Cカメラも高画質で撮影が可能ですが、フルサイズに比べると、解像度や色の再現性でわずかに劣ることがあるため、風景撮影や商業撮影など高い画質を求める場合には、フルサイズが好まれる傾向にあります。

APS-Cカメラでも十分に高画質で撮影できますが、フルサイズに比べてやや画質が劣る面があることを理解しておくと良いでしょう。

特に解像度や階調を重視したい撮影では、フルサイズのメリットが活かされます。

高感度ノイズと画質

高感度ノイズと画質

APS-Cカメラは、フルサイズに比べて暗い場所や高感度撮影時にノイズが出やすい傾向があります。

これは、センサーサイズが小さいため、光を十分に取り込めず、特に高ISO感度での撮影でノイズが目立ちやすくなるためです。

高感度撮影(ISO感度を上げる撮影)を行うと、カメラは少ない光の中でも明るく写るように補正しますが、センサーが小さいAPS-Cでは光の取り込みが制限されるため、ノイズが発生しやすくなります。

ISO感度

ISO感度は、カメラのセンサーが光をどれだけ敏感に捉えるかを示す設定です。

ISO感度を上げると、暗い場所でも明るく撮れますが、その分ノイズ(ザラついた画質)が発生しやすくなります。

  • ISO感度
    ISO感度を上げると光量不足を補えますが、APS-Cではフルサイズに比べてノイズが目立ちやすくなります。これは、APS-Cセンサーの画素が小さいため、ノイズが乗りやすくなるからです。
  • 暗所での撮影
    暗い場所での撮影や夜景撮影では、APS-Cよりもフルサイズの方がクリアな画質を得られやすい特徴があります。

APS-Cカメラはフルサイズに比べて高感度ノイズが発生しやすいため、特に夜景や暗所での撮影時には注意が必要です。

ノイズが気になる場合は、ISO感度を抑える、または明るいレンズを使うなどの工夫でノイズを軽減できます。

APS-Cとフルサイズどちらを選ぶべきか

APS-Cとフルサイズどちらを選ぶべきか

APS-Cとフルサイズのどちらを選ぶべきかは、使用シーンや目的に合わせて決めるのが最も重要です。

APS-Cカメラは携帯性とコストパフォーマンスに優れています。

一方、フルサイズカメラは画質や表現力を求める本格的な撮影に向いています。

APS-Cとフルサイズにはそれぞれ異なる特徴があり、求めるや撮影シーンに応じた選択が重要です。

APS-Cカメラの特徴

  • 軽量・小型で持ち運びが簡単
    APS-Cはセンサーが小さいため、カメラ本体も小さく軽量で、日常使いや旅行、街中でのスナップ撮影に便利です。
  • 望遠撮影で効果的
    APS-Cは「35mm換算」で焦点距離が1.5倍や1.6倍になるため、望遠効果が得やすく、遠くのものを撮りたい場合に最適です。
  • 価格が手頃
    APS-Cはフルサイズに比べて低コストで購入できるため、初心者でも手に取りやすい価格帯で提供されています。

フルサイズカメラの特徴

  • 高い画質と解像感
    フルサイズはセンサーが大きいため、より多くの光を取り込み、解像度が高く、ディテールを鮮明に再現できます。特に風景撮影や商業写真に適しています。
  • 優れたボケ表現
    フルサイズカメラでは被写界深度が浅く、APS-Cよりも背景を大きくぼかすことができます。ポートレートや美しいボケ味を活かした写真に最適です。
  • 暗所性能が強い
    センサーが大きいため、暗い場所でもノイズを抑えやすく、高感度撮影においてもクリアな画像が得られます。夜景や薄暗いシーンでも質の高い写真が撮れます。

初心者にはおすすめのカメラはカメラメーカーの上位機種です。

参考:初心者におすすめ!後悔しないために上位機種のカメラを選ぶべき理由

初心者におすすめ!後悔しないために上位機種のカメラを選ぶべき理由 初心者におすすめ!後悔しないために上位機種のカメラを選ぶべき理由

フルサイズカメラのクロップ機能

フルサイズカメラの「クロップ機能」は、カメラのセンサー全体ではなく、センサー内の一部を切り取ってAPS-Cの小さいセンサーサイズで撮影するような効果を得られる機能です。

これにより、レンズの焦点距離を変えることなく、遠くの被写体をより大きく写すことが可能になります。

利点説明
レンズの望遠効果が得られる画角を狭めることで、遠くの被写体を大きく写せる
高解像度が必要ない場合に便利SNSやウェブ用の画像では十分な解像度が得られる
レンズ交換の手間を省けるレンズ交換不要で、シーンに応じた画角調整が可能

レンズの望遠効果を高める

クロップ機能を使うと、画角が狭くなり、同じレンズでも焦点距離が伸びたような効果が得られます。

たとえば、50mmのレンズをクロップすると、75mm相当(APS-Cクロップの場合)の見え方になり、より遠くの被写体を大きく写せます。

これは「35mm換算」で言うと、焦点距離が約1.5倍になったのと同じ効果です。

画像サイズが小さくなる

画像サイズが小さくなる

クロップ機能では、センサーの一部を使用するため、元の画素数よりも小さな解像度での撮影になります。

しかし、SNSやウェブ上での表示や小さめの印刷であれば十分な解像度です。

画素数の減少例

フルサイズで撮影すると6048 × 4032ピクセルの画素数ですが、クロップ機能(APS-Cクロップ)で撮影すると3984 × 2656ピクセルになります。

  • フルサイズ撮影:6048px × 4032px = 約2438万画素
  • クロップ機能で撮影:3984px × 2656px = 約1058万画素

高画素のフルサイズカメラでは、クロップ機能しても十分な画素数を確保することができます。

レンズ交換の手間が減る

クロップ機能を使うことで、レンズを交換せずに構図や画角を調整できるため、レンズの交換が難しい場面や瞬間を逃したくないシーンで便利です。

クロップ機能はカメラ内でのトリミング

フルサイズカメラのクロップ機能は、カメラ内で一部のセンサー領域だけを使って撮影するカメラ内トリミング」のようなものです。

クロップ機能と、撮影後のトリミングには異なる点がいくつかあります。

また、クロップ機能には賛否両論あるものの、撮影者のニーズに応じて使い分けると便利な機能です。

撮影後のトリミングとの違い

撮影後のトリミングとの違い

クロップ機能は撮影時に特定の範囲だけをセンサーに使うため、記録する画像は最初からクロップされた状態で保存されます。

  • 撮影後のトリミングは撮影された全画像を後で切り取るため、元画像をすべて保持しておくことができます。
  • クロップ機能を使うと、撮影時に画角や構図が決まるため、編集の手間が省ける一方で、元の画角には戻せないため構図の修正が難しいという点もあります。

クロップ機能は賛否両論ある

クロップ機能を利用するかどうかは、撮影者の意図や状況に左右されます。

クロップ機能が便利な場面も多くありますが、画質がフルサイズでの撮影に比べて下がるため、「本物の望遠」ではないと感じる人もいます。

クロップ機能に否定的な意見としては、以下のような意見があります。

  • 画質が低下する
    センサーの一部しか使わないため、フルサイズの解像度が十分に活かされず、画素数が減少し画質が劣化することがある。
  • 本物の望遠効果ではない
    あくまで画像を「切り取っている」だけで、実際の望遠レンズで撮影した場合とは異なり、望遠効果は擬似的である。
  • 編集の自由度が制限される
    クロップして撮影すると、後から元の構図に戻せないため、トリミングよりも自由度が低い。
  • センサーの利点が生かせない
    フルサイズセンサーの広い画角を使わず、一部だけを使うことで、フルサイズの魅力が半減する。

最終的には、クロップ機能のメリットとデメリットを理解し、状況に応じて使い分けることが重要です。

APS-Cカメラの35mm換算によるレンズの焦点距離:まとめ

この記事では、「APS-C 35mm換算」について、基本的な仕組みから具体的な計算方法までを詳しく解説しました。

APS-Cカメラは、フルサイズカメラとは異なる見え方をするため、焦点距離を「35mm換算」で考えることで、フルサイズの見え方との違いがわかりやすくなります。

これを理解しておくと、レンズ選びや撮影の構図づくりがスムーズに行えます。最後に、この記事で特に重要なポイントをまとめます。

  • 35mm換算
    35mm換算とは、異なるセンサーサイズのカメラで撮影した写真を、35mmフルサイズカメラで撮影した場合と同じ画角に換算することです。異なるセンサーサイズのカメラで撮影した写真を、共通の基準で比較するための指標です。
  • APS-Cと35mm換算の基本
    APS-Cカメラのセンサーは小さいため、焦点距離が約1.5倍(または1.6倍)になり、より「望遠寄り」の画角になります。
  • 35mm換算の計算方法
    使っているレンズの焦点距離に、APS-Cの換算係数(1.5倍や1.6倍)をかけるだけで簡単に求められます。たとえば、50mmのレンズはAPS-Cで使うと約75mm相当または約80mm相当の見え方になります。
  • 構図やレンズ選びに活用
    35mm換算を考慮することで、広角から望遠までの見え方を事前に理解でき、シーンに合った構図作りがしやすくなります。

APS-Cの35mm換算は、最適なレンズ選びや撮影計画に役立つ基本知識です。

ぜひ、この記事の内容を参考にして、APS-Cカメラで理想的な写真を撮影してください!